こんにちは、編集部スタッフのOです。とある仕事の下調べも兼ね、大豊町粟生にある豊永郷民俗資料館を訪ねてきました。国道32号沿いに北上し、JR豊永駅南の交差点を右折して国道439号線へ。間もなく見えてくる案内標示に従って、少し細い坂道をのぼると到着です。
真言宗のお寺・定福寺の静かな境内に建つ資料館には、豊永郷の人々に使われていた民具が集められ、およそ1万2千点もの品々が展示されています。人々が営んでいた養蚕、和紙、林業、農業などの産業で使われていた機具、味噌や豆腐の製造に用いた桶など暮らしの品というように、使われた場面ごとに整理されています。初めて見るものばかりの子どもたち向けに、あちらこちらの展示にクイズのパネルが備えつけてあり、昔の暮らしを分かりやすく伝えながら楽しく学習できる工夫も素晴らしいと感じました。
ご案内いただいた先代ご住職のお話によると、打ち捨てられていく民具は貴重なものと考えた先々代の住職が、お寺で不要になった民具を引き取り始めたことが出発点となり、今日の資料展示につながったそうです。現在のご住職、釣井龍秀さんはご不在でしたが、学芸員として資料館の運営に携わっておられるとのこと。定福寺の代々ご住職が歴史をつなぎ、貴重な資料がこうして後世に伝わっていることに感動しました。
こちらの資料館は今年の3月に新装開館したばかり。土佐漆喰と県産木材がふんだんに使われていて、中に入ると木の香りに包まれる快適な建物です。ちなみに、2015年の高知県建築文化賞で最優秀の知事賞にも選ばれているそうです。高知に住む子どもたちに、ぜひとも見てもらいたいと思う民俗資料と建物でした。