高知と東京を拠点に活動する映画作家・甫木元空氏の個展が開かれます。
本展は、自らの肉親の死に向き合った映画作家が、展示という枠組みを用いて私的な「記憶」と外的な「記録」の関係性を問い直す試みです。
甫木元氏は2017年に祖父と母が住む高知県四万十町に移住。その後、病身の母を看取った21年までの4年間、家族との日常を撮り溜めてきました。そんな家族写真と、生前の両親が甫木元氏の誕生以前の91年から撮り続けていたホームビデオが、本展の作品を構成する素材となっています。
展覧会名の「窓外」における「窓」という言葉に、こちらとあちら、ひいてはこの世とあの世を隔てる境界のイメージを重ねる甫木元氏。「窓の外」に旅だった故人の面影を編み直し、新たな表現の回路を拓こうとする作家の試みを、この機会にぜひご覧ください。