このところ、タイニーハウスが流行っているらしい。タイニー、つまり小さな家。先日、安芸市の知人宅を展示場として公開するというので行ってみた。
周りの田んぼの初々しい緑と、道沿いの小さな水路を流れる澄んだ水に心地よさを感じながら、お宅にたどり着く。母屋の横に構えられた築60年の建物を紹介される。おじいちゃんが建て、ご両親がかつて暮らしていた離れをこのたび父と息子である知人が改修したのだという。
玄関に入り正面の障子を開けてもらうと無垢材のリビングが広がった。さっそく上がらせてもらう。あ、鯉のぼり。正面には鯉の絵をあしらった布が掛けられ、花が活けられた空間に季節のおもてなしを感じる。なるほど!
実は、この空間、床柱だけの床の間。狭い家ならではの工夫として、アイデアを教えてもらう。そもそも床柱は床の間のフレーム、額縁のふちの役割を果たすものだそうで、その機能を果たすものとして一本柱だけをリビングに置き、横の空間にお軸のように布を掛けたり、床に花を置くことで床の間の演出を完成させていた。
京都の北山杉を使った白木の床柱は、部屋の空間を邪魔しない清々しい存在感ですっと立っていた。
知識があるということは、様々な発想が出来るという素敵な例だと思った。床柱が演出する床の間空間以外にも、こだわりの栗の木を使った床は、さぞかし夏に裸足で歩いたら快適だろうなぁ。リビングに備え付けられたキッチンはコンパクトながらも機能的でそこに立つのがうれしくなりそうな場所だったし、そのほかたくさん、アイデア次第で小さくとも快適で暮らしやすい住まいづくりを教えてくれたタイニーハウスだった。狭小住宅と呼ぶのではなく、あえて、タイニーハウスと呼んで快適に住みこなす。
発想のおしゃれさを感じた。よし、発想力を豊かにして築50年の手狭な我が家も個性的に住みこなそう! 井上さん、公開展示に呼んでくれてありがとう! 心も新たにゴールデンウィークを迎える上村でした。